2026年5月29日成立の改正入管法による在留手数料の大幅見直しとは|法改正の背景・外国人本人や企業への影響をわかりやすく解説

外国人が日本で生活や就労を続けるためには、在留期間更新許可、在留資格変更許可、永住許可などの手続が欠かせません。2026年5月29日に成立した改正入管法では、これらの手続に関する在留許可手数料の上限額が大幅に引き上げられることになりました。今回の改正は単なる「値上げ」ではありません。外国人の増加に伴う入管行政の体制整備や、オンライン申請の拡充、不正申請対策など、日本の出入国在留管理制度全体の見直しの一環として行われています。外国人本人だけではなく、その家族や外国人を雇用する企業にも少なからず影響が及ぶ可能性があります。
この記事では、改正入管法の内容、値上げの背景、外国人本人・家族・企業への影響について、公表資料に基づき詳しく解説します。

この記事の一覧

  • 2026年改正入管法で何が変わったのか
  • 在留手数料が大幅に引き上げられる背景
  • なぜここまで大きな値上げになったのか
  • 在留資格更新・変更への影響
  • 永住許可申請への影響
  • 家族滞在・配偶者等への影響
  • 外国人を雇用する企業への影響
  • 早めの申請が重要になる理由
  • よくある質問
  • 公的情報

2026年改正入管法で何が変わったのか

令和8年5月29日、第221回特別国会で改正入管法が成立し、同年6月5日に公布されました。今回の改正の柱は大きく分けると次の2つです。

改正内容概要
JESTA(電子渡航認証制度)の創設短期滞在外国人を対象とした事前審査制度
在留許可手数料の上限額引上げ更新・変更・永住許可などの手数料制度を見直し

今回の記事では、このうち在留手数料の見直しについて詳しく解説します。

在留手数料は「すぐに変わる」わけではありません

法律が成立したことで、すぐに新しい料金になるわけではありません。改正法では、

在留資格変更許可等に係る手数料に関する規定は、令和9年3月31日までの間に政令で定める日から施行

とされています。

つまり、

  • 法律で上限額を改正
  • 政令で具体的な金額を決定
  • 施行日に新料金が適用

という流れになります。

在留手数料が大幅に引き上げられる背景

「なぜここまで大きな値上げが必要なのか」これは多くの外国人や企業が疑問に感じる点でしょう。政府が公表している資料では、主な理由として次の点が挙げられています。

在留外国人数が大幅に増加しているため

昭和56年当時、日本に在留する外国人は約79万人でした。一方、令和7年末には約413万人となり、およそ5.2倍に増加しています。申請件数も大幅に増加しており、

  • 在留資格変更
  • 在留期間更新
  • 永住許可
  • 就労資格証明書
  • 再入国許可

など、多くの手続を処理する体制強化が求められています。

行政コストが増加しているため

在留審査では、

  • 偽造書類対策
  • 不法就労防止
  • オンライン申請システム
  • データ管理
  • セキュリティ対策

など、以前にはなかった多くの行政コストが発生しています。政府は、これらの費用を一定程度利用者負担とする方向で制度を見直しています。

国際的な水準も考慮されたため

政府資料では、「主要国の水準等を考慮する」との方針も示されています。つまり、日本だけではなく、海外主要国のビザ制度や在留制度との比較も踏まえて制度設計が進められています。

なぜここまで大きな値上げになったのか

今回の改正で特に注目されているのは、単純な数百円程度の改定ではないという点です。政府は、

  • 在留期間の長さ
  • 手続内容
  • オンライン申請か窓口申請か

などを考慮した料金体系を導入する方向で検討しています。現時点で公表されている改正政令案では、

  • 在留期間に応じた段階的な手数料設定
  • オンライン申請は窓口申請より低額
  • 永住許可手数料の見直し

などが示されています。ただし、これらは令和8年7月現在では最終決定前の案であり、正式には公布される政令・省令を確認する必要があります。

オンライン申請を促進する狙いもあります

近年、出入国在留管理庁ではオンライン申請の利用拡大を進めています。オンライン申請には、

  • 窓口の混雑緩和
  • 申請者の移動負担軽減
  • 行政コスト削減

といったメリットがあります。今回の制度設計でも、オンライン申請の手数料を窓口より低く設定する方向が示されており、今後はオンライン申請の利用がさらに広がることが予想されます。

在留資格更新・変更への影響

在留資格の更新や変更は、多くの外国人が日本で生活や就労を続けるうえで繰り返し行う手続です。今回の制度見直しでは、1回あたりの手数料が引き上げられる方向で制度設計が進められているため、日本で長期間生活する外国人ほど累積する費用負担が大きくなる可能性があります。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で日本企業に就職した場合を考えてみましょう。

在留期間10年間のおおよその更新回数
1年約9回
3年約3回
5年約2回

在留期間が短いほど更新回数が増えるため、手数料改定の影響を受ける機会も多くなります。もちろん、在留期間は申請者の希望だけで決まるものではなく、在留状況や活動内容などを踏まえて出入国在留管理庁が判断します。そのため、日本で長く生活する予定がある場合は、将来の更新回数や費用も含めて生活設計を考えることが大切です。

在留カードの有効期間とは別に考える必要があります

「在留カードを持っているから安心」と考えてしまうことがありますが、在留カードの有効期間と在留資格の在留期間は別の制度です。更新時期を誤ると、

  • 在留期限を超過するおそれ
  • 就労継続に影響する可能性
  • 追加資料の提出期間が短くなる可能性

があります。今回の法改正は手数料制度の見直しであり、更新期限そのものが延長されるわけではありません。制度改正後も、在留期限の管理を適切に行うことが大切です。

手数料以外の費用も考えておきたいポイント

更新手続では、手数料以外にも費用が発生することがあります。例えば、

  • 各種証明書の取得費用
  • 郵送費
  • 翻訳費用
  • 交通費

などです。今回の手数料改定を機に、更新手続全体で必要となる費用をあらかじめ把握しておくことで、余裕を持って準備を進めやすくなります。

永住許可申請への影響

今回の制度改正では、永住許可申請についても手数料の見直しが予定されています。永住許可は、一度許可を受けると在留期間の更新手続が不要になるため、「長期的な負担軽減」という点で注目されています。一方で、永住許可は厳格な審査が行われるため、手数料だけを理由に申請時期を決めることは適切ではありません。

永住許可は総合的な審査によって判断されます

永住許可では、

  • 在留期間
  • 納税状況
  • 年金・健康保険の納付状況
  • 生計維持能力
  • 素行

など、多くの項目が総合的に審査されます。そのため、要件が十分に整っていない段階で申請すると、不許可となる可能性があります。制度改正の有無にかかわらず、申請前に要件を確認したうえで適切な時期に申請することが大切です。

不許可となった場合の負担も考慮しておきましょう

永住許可申請が不許可となった場合、納付した手数料は返還されません。さらに、

  • 必要書類の再取得
  • 翻訳費用
  • 郵送費
  • 再申請時の手数料

などが再度必要になることがあります。結果として、一度の申請よりも大きな費用負担となる可能性もあるため、十分な準備を整えてから申請することが望ましいといえます。

家族滞在・配偶者等への影響

今回の制度改正は、就労資格だけではなく、家族滞在や日本人の配偶者等など、更新手続が必要な多くの在留資格にも影響します。家族全体で考えると、一人分ではなく世帯全体の負担として考える必要があります。例えば、夫婦と子ども2人の4人家族であれば、

それぞれについて更新手数料が必要になります。そのため、家族が多いほど制度改正による影響も大きくなる可能性があります。

子どもの更新期限にも注意が必要です

家族で生活していても、

  • 日本で出生した子ども
  • 後から在留資格を取得した子ども
  • 家族の一部だけ先に更新した場合

などでは、更新期限が一致しないことがあります。家族全員の在留カードを一覧で確認し、それぞれの更新時期を把握しておくことで、更新漏れを防ぎやすくなります。

外国人を雇用する企業への影響

今回の制度改正は、外国人本人だけではなく、外国人を雇用する企業にも影響を及ぼす可能性があります。企業によっては、

  • 更新手数料
  • 在留資格変更手数料
  • 永住許可申請手数料

などを会社が負担している場合があります。そのため、制度改正後は採用コストや人件費の見直しを検討する企業も増えることが考えられます。

採用時だけではなく雇用後の費用も把握しておくことが大切です

外国人採用では、採用時の費用だけが注目されがちです。しかし、実際には、

  • 在留資格更新
  • 在留資格変更
  • 家族の在留手続

など、採用後もさまざまな手続が続きます。そのため、中長期的な視点で必要となる費用を把握しておくことで、計画的な人材確保や雇用管理につながります。

早めの申請が重要になる理由

制度改正によって手数料が見直されても、申請期限そのものが変わるわけではありません。そのため、従来どおり余裕を持って準備を始めることが重要です。

制度改正の時期は特に余裕を持った準備がおすすめです

制度改正前後は、

  • 必要書類の確認
  • 新しい申請様式への対応
  • 手数料額の確認

など、通常より確認事項が増えることがあります。また、

  • 勤務先の証明書類
  • 納税証明書
  • 住民票など

の取得にも時間を要する場合があります。余裕を持って準備を進めることで、追加資料の提出や制度変更にも落ち着いて対応しやすくなります。

最新の公的情報を確認することが大切です

制度改正後は、インターネット上に旧制度の情報が残っていることがあります。例えば、

  • 旧手数料
  • 旧様式
  • 過去の必要書類

が検索結果に表示されることもあります。申請前には、出入国在留管理庁の最新情報を確認し、現在適用されている制度に基づいて準備を進めることが安心につながります。

よくある質問

Q1 在留手数料が改定される前に申請すれば現在の手数料が適用されますか?

原則として、申請時点で適用されている手数料が納付額となります。そのため、施行日前に受理された申請については、改正前の手数料が適用されるケースがあります。ただし、経過措置が設けられる場合もあるため、制度改正時には最新の公表内容を確認することが大切です。

Q2 オンライン申請の方が安くなりますか?

令和8年7月時点で公表されている改正政令案では、多くの在留申請についてオンライン申請の手数料を窓口申請より低く設定する案が示されています。ただし、正式な金額や適用時期は政令・省令の公布によって確定します。

Q3 永住許可申請も値上げの対象になりますか?

公表されている改正政令案では、永住許可申請手数料も見直しの対象とされています。永住許可を検討している場合は、今後公表される正式な手数料を確認したうえで申請時期を検討することが大切です。

Q4 家族全員分の手数料が必要になりますか?

在留資格更新や在留資格変更を行う場合は、それぞれの申請について手数料が必要になります。そのため、家族で日本に在留している場合は、世帯全体として必要になる費用も考えて準備を進めることが大切です。

Q5 企業が負担することもありますか?

外国人を雇用する企業では、就業規則や雇用契約などに基づき、更新手数料等を会社が負担している場合があります。制度改正後は、社内ルールについても確認しておくと安心です。

今後の制度改正への備え

今回の法改正では、手数料の引上げだけでなく、オンライン申請の普及やデジタル化の推進など、今後の在留管理制度全体の見直しにつながる方向性も示されています。そのため、今後在留手続を予定している場合は、次の事項を確認しておくことをおすすめします。

確認事項内容
最新の手数料制度改正後の金額
申請方法オンライン・窓口
必要書類最新版か確認
申請様式旧様式ではないか
審査期間最新の標準処理期間

公的情報

掲載内容公式リンク
令和8年改正入管法(改正法の概要・関係法令)https://www.moj.go.jp/isa/policies/bill/05_00001.html?utm_source=chatgpt.com
在留申請オンラインシステムhttps://www.moj.go.jp/isa/applications/online/onlineshinsei.html?utm_source=chatgpt.com
在留申請書・届出書等(各種様式)https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/index.html?utm_source=chatgpt.com
在留審査処理期間(標準処理期間)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00140.html?utm_source=chatgpt.com
地方出入国在留管理官署一覧https://www.moj.go.jp/isa/about/region/index.html?utm_source=chatgpt.com
在留手続等に関する手数料(現行制度・改定情報)https://www.moj.go.jp/isa/01_00518.html?utm_source=chatgpt.com

※制度改正等により内容が変更される場合があります。
最新情報は出入国在留管理庁等の公表内容をご確認ください。