企業内転勤の最新審査動向 ~海外拠点から日本拠点へ転勤する場合の注意点~
更新日:2026年6月20日
企業内転勤は、海外の本店・支店・関連会社などで勤務していた外国人社員が、日本国内の本店・支店・事業所へ転勤する場合に利用される在留資格です。
近年は、外国人材の国際的な配置転換が増える一方で、企業内転勤の在留資格についても、勤務実態、転勤の必要性、職務内容、企業間関係の説明が重要になっています。
本記事では、企業内転勤の基本的な仕組みと、申請時に注意すべき実務上のポイントを解説します。
企業内転勤とは
企業内転勤とは、外国の事業所で勤務していた社員が、日本国内の事業所へ転勤し、一定の専門的業務に従事する場合の在留資格です。
対象となる業務は、主に次のようなものです。
- 技術分野の業務
- 人文知識分野の業務
- 国際業務分野の業務
つまり、単純作業ではなく、専門的知識や経験を活用する業務であることが必要です。
技術・人文知識・国際業務との違い
雇用の形が異なる
技術・人文知識・国際業務では、日本の企業と外国人本人との雇用契約が中心になります。
一方、企業内転勤では、海外拠点から日本拠点への「転勤」である点が特徴です。
学歴要件の考え方
技術・人文知識・国際業務では、学歴や職歴と業務内容との関連性が重要です。
一方、企業内転勤では、海外拠点での勤務実績や、転勤元・転勤先の企業関係、転勤後の職務内容が特に重視されます。
審査で重視されるポイント
海外拠点での勤務実績
企業内転勤では、転勤前に海外拠点で一定期間勤務していたことが重要です。
そのため、申請では、
- 在職証明書
- 給与支払記録
- 社会保険・税務関係資料
- 勤務実態を示す資料
などにより、実際に海外拠点で勤務していたことを説明する必要があります。
転勤元と転勤先の関係
企業内転勤では、海外法人と日本法人の関係性も重要です。
例えば、
- 親会社・子会社
- 本店・支店
- 関連会社
- グループ会社
などの関係を、登記事項証明書、会社案内、資本関係図などで明確に示す必要があります。
日本で従事する業務内容
日本での業務が専門的業務に該当することも重要です。
単に「営業」「事務」「管理」と書くだけでは不十分です。
実務上は、
- どの部署で働くのか
- どのような専門知識を使うのか
- 海外拠点での経験をどう活用するのか
- 日本拠点でなぜその人材が必要なのか
を具体的に説明することが大切です。
派遣・出向形態の場合の注意点
企業内転勤では、転勤後の勤務先が日本法人の事業所であることが基本です。
ただし、実務上は、日本法人から取引先企業へ派遣・出向するような形態もあります。
この場合は、特に慎重な説明が必要です。
注意すべき点
- 実際の指揮命令者は誰か
- 給与はどこから支払われるか
- 雇用契約はどの法人と結んでいるか
- 派遣先での業務が専門的業務か
- 単純作業に従事していないか
これらを明確にしないと、企業内転勤としての該当性に疑義が生じる可能性があります。
報道されている最新動向
2026年には、企業内転勤の在留資格について、勤務歴、納税状況、提出資料の真正性などをより厳格に確認する方向であるとの報道もあります。
ただし、現時点で個別の申請においてどのような追加資料が求められるかは、申請内容や企業の状況によって異なります。
そのため、報道だけで判断するのではなく、実際の申請では、出入国在留管理庁の公表情報、申請要領、個別事情を踏まえて準備することが重要です。
行政書士の実務ポイント
企業内転勤では、単に「海外から日本へ転勤する」という説明だけでは不十分です。
実務上は、
- 海外での勤務実態
- 企業グループの関係
- 日本での職務内容
- 転勤の必要性
- 給与・待遇の整合性
- 単純労働ではないこと
を、資料と説明書で整合的に示すことが重要です。
特に、派遣・出向を伴う場合は、雇用関係、指揮命令関係、業務内容を丁寧に整理しておく必要があります。
まとめ
企業内転勤は、国際的な企業グループ内で外国人社員を日本へ配置するための重要な在留資格です。
ポイント
- 海外拠点から日本拠点への転勤が前提
- 日本での業務は専門的業務である必要がある
- 海外勤務実績の立証が重要
- 転勤元と転勤先の企業関係を明確にする
- 派遣・出向形態では特に慎重な説明が必要
- 勤務実態や資料の整合性が重要
企業内転勤の申請では、企業側の資料作成が審査結果に大きく影響します。早い段階から必要資料を整理し、転勤の必要性と業務内容を明確に説明することが大切です。


